Q:就業規則の変更届の記入例とポイントは?
A:就業規則の変更届の記入例は解説のとおり。ただそれほど慎重になる必要はなく、新旧対照表も必須ではない。
就業規則を作成・変更した場合は、労働基準監督署への届出が必要です。届出の際に必要な書類一式は、
- 作成・変更した就業規則一式
- 従業員の過半数代表者の意見書
- 就業規則(変更)届
の3つです。なお、意見書の書き方については「就業規則を労働基準監督署に届出するときの意見書の書き方は?」で解説しています。
厚生労働省による就業規則(変更)届の例
3つ目の「就業規則(変更)届」が必要な法的根拠は不明なのですが、労働基準監督署に届出をすると、必ず提出を求められます。
様式がダウンロードできる「厚生労働省の労働基準法関係主要様式」に、以下の就業規則(変更)届の様式が、Word版で掲載されています。
様々な部分が枠で囲われており、まさに紙の印刷用様式とわかりますし、労働保険番号の欄を見ると、番号が1つ1つ分割されており、「ネ申 Excel」(神エクセル)の香り豊かな様式になっています・・・
また、様式例のダウンロード箇所には「定型の申請書様式はございませんので、届出を行う際には、任意の用紙に事業所の名称、事業所の所在地、使用者氏名等を記載して提出して下さい。」と記載されていますが、必須として求めるのであれば変更届を求める法的根拠を整備すべきですし、
- 業種・労働者数
- 企業全体・事業場の人数
の記載まで求めるのはどうかとも思います。また、建設業のように労働保険の取り扱い上「二元適用事業」であれば、複数の労働保険番号があるのでこの様式だと記載に困るでしょう。
就業規則(変更)届の記入例
就業規則(変更)届の問題点をお伝えしたところで、以降は、実際に就業規則(変更)届を記入する際に悩みがちな部分を解説していきます。
主な変更事項の書き方
多くの企業が記入の際に悩むのが「主な変更事項」で「新旧対照表」と呼ばれたりします。
まず、「主な変更事項」がある理由は、就業規則一式の分量が多く、変更箇所のみを提出したいというときに記入するものです。
以前届出をした前のバージョンの就業規則は労働基準監督署に保管されています。
そのため、変更した箇所の条文・改正前・改正後を記入し、該当する就業規則の部分のみを届け出ればOKです。
就業規則を全面改定した場合の記入例
就業規則をほぼ全面改定した場合など、変更箇所が多い場合は、新旧対照表を作成するより、就業規則一式をそのまま提出した方が楽です。
そのような場合には、
- 主な変更事項:全面改定
と書いて、就業規則一式を提出すればOKです。
なお、新旧対照表の作成サービスを有料で行う会社があったり、「新旧対照表の作成は必須」と主張している社労士がいたりするのは驚きなのですが、前述のとおり、新旧対照表の作成を求められる法的根拠は一切ありません。
新旧対照表の作成といったムダなことにお金や時間を使う必要はありません。
労働保険番号の書き方
労働保険番号が複数ある場合は、複数書いておきましょう。
厚生労働省の様式では、番号を1つずつセルに入力する形になっていますが、こんな記入しにくい表は削除して構いません。
業種・労働者数
業種が複数あれば、複数書いておきましょう。
また、本来、就業規則は事業場単位で作成するものなので、事業場の労働者数のみを記載すればよいはずで、「企業全体」の人数を求められる理由が不明ですし、「企業全体」というのもわかりにくいのですが、同一の事業主による法人の労働者数を指しているのでしょう。
そのため、支店や営業所など他の事業場があれば合算した人数を記入してください。
なお、「就業規則の意見書はいつから押印廃止?」と同様に、就業規則(変更)届でも押印は廃止されています。
そもそも、就業規則(変更)届の法的根拠すら曖昧なので、今まで押印が必要だった理由すらないはずですが・・・