就業規則で法定休日を特定する必要はあるか?

当事務所に寄せられる質問に、公平・中立な立場で、しかし正直かつ本音で回答します。
社労士事務所・業界の慣習の中には一般常識から考えておかしい部分が正直あります。しかし半ばタブーとされている質問であっても業界として信頼を得るためには、正直かつ本音で回答することが重要と考えます。

今回のポイント

Q:就業規則で法定休日を特定する必要はあるか?
A:法定休日の特定は義務ではないが、結局実務的には必要となる。

まず、休日は、就業規則の絶対的必要記載事項なので、就業規則に記載しなければなりません。

ただし、今回のポイントは、会社として設定する休日のうち、どの休日が法定休日なのか特定までする必要があるのか、という点です。

関連:就業規則で記載しなければならない内容は?

法定休日の特定は法令による義務ではない

労働基準法第35条では、法定休日について以下のように定められています。

労働基準法第35条(休日)
  1. 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
  2. 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

休日には、法律で義務づけられる「法定休日」と、会社が独自に設定する「所定休日」があり、労働基準法による「休日」は「法定休日」です。

関連:労働基準法における休日の定義、法定休日と所定休日の違い

労働基準法第35条でわかるように、休日を特定することまでは求めておらず、週1日以上の休日を求めているだけです。

この点について、人事労務の実務担当者が必ず参照すべき「労働法第12版(菅野和夫)p471」では、やはり以下のように休日の特定は法律上必須ではないと解説しています。

休日は週のいずれかの曜日に特定され、固定されるのが週休制の本来かつ通常の姿であるものの、労働基準法第35条第1項の規定は文言上休日の特定を要求しておらず、休日の特定は法律上必須ではないと解するしかありません。

法定休日の特定に関する行政解釈

一方、行政通達(昭23.5.5 基発第682号、昭63.3.14 基発第150号)によると、以下のとおり法律上の義務ではないことを認めつつ、特定するように指導するという方針であることがわかります。

法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから、就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく、具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい。

法律上の義務でないにも関わらず、行政通達というあくまで「行政内部のお手紙」によって会社を縛るのはいかがなものかと個人的には思います。

ただ、1週間に1日の休日付与という労働基準法の趣旨は、

  • 事前に労働者に休日を示し、週に1日は休息させなさい

というものであり、

  • 週によってコロコロと休日が変わるのはおかしい

という行政解釈は当然のものであり理解できます。であれば、きちんと法律に明記すべきなのですが・・・

実務的には法定休日の特定は必要

この法定休日の特定という問題は、休日の曜日がよく変わる会社で起こりがちな問題です。

ただし、休日が週に1日しかない会社の場合、問答無用でその日が法定休日になりますし、週に2日以上の休日がある会社の場合、どの曜日を法定休日にするかという問題に過ぎません。

しかし、休日労働があった場合、法定休日の特定をしないと割増賃金の計算ができないため、実務的には結局法定休日の特定は必要ということになります。

まとめ

以上をまとめると、

  • 法定休日の特定は、法律上の義務ではない
  • ただし、割増賃金の計算をする際に、法定休日の特定が必要となる
  • また、実務的に毎週特定の日を休日にしているはずで、結果的にその日が法定休日になる

ということです。なお、法定休日は日曜である必要はありません。会社が決めることができ、土曜でも平日でも構いません。

関連:就業規則に関するQ&A