Q:就業規則本則とは何か?
A:明確な定義はないが、多くの社労士事務所では正社員用の就業規則を指す。絶対的必要記載事項を除外している可能性があるため要注意。
就業規則の作成・見直しを検討する際に、社労士事務所のウェブサイトで必要な費用を調べていると、
- 就業規則本則
という言葉を見つけることが多くあります。
常時10人以上の従業員がいる事業場には、就業規則の作成、労働基準監督署への届出が義務付けられています。
しかし、労働基準法が求める「就業規則」を正確に理解せずに、「就業規則本則」の費用のみを確認して社労士事務所に依頼するのは間違いです。
関連:就業規則の作成が義務付けられる「常時10人以上」の正しい数え方は?
「就業規則本則」の定義はない
この「就業規則本則」という用語は、誤解を招きかねないため当事務所では利用していませんが、そもそも「就業規則本則」という用語に、法的な定義は何らありません。社労士事務所が勝手に命名しているものです。
そのため、「就業規則本則」が、誰を対象にし、どんな内容になっているのかは、その名称を用いている社労士事務所次第です。
「就業規則本則」の適用範囲
「就業規則本則」の適用範囲は、社労士事務所次第なのですが、多くの場合「正社員のみが対象」となっているようです。
この場合、あなたの会社に正社員しかいないのであれば、正社員のみが対象となる「就業規則本則」で十分です。
ただ、正社員のみの会社というのは最近は珍しく、一般的には、パート・アルバイト、1年単位で契約している定年後の再雇用社員がいます。
その場合、正社員のみが対象となる「就業規則本則」では労働基準法違反となります。
「就業規則本則」の内容
「就業規則本則」の内容も、社労士事務所次第なのですが、多くの場合は以下のようになっているようです。
- 賃金に関する部分は除外されている → 賃金規程が別途必要
- 育児・介護休業等に関する部分は除外されている → 育児・介護休業規程が別途必要
賃金や休暇に関する定めは、労働基準法に基づく「絶対的必要記載事項」です。
そのため、賃金、育児・介護休業等(休暇に該当)に関する定めが「就業規則本則」に含まれていないのであれば、労働基準法違反となります。
その場合、就業規則本則と別に、賃金規程や育児・介護休業規程が必要となります。