Q:パートや再雇用のための就業規則は別途必要か?
A:すべての従業員に適用する就業規則が必要。そのため、1つの就業規則 or 複数の就業規則のどちらでも良いが、パートや再雇用に適用される就業規則は必要。
労働基準法が定める就業規則はすべての従業員が対象
労働基準法では、常時10人以上の従業員がいる事業場に、就業規則の作成、労働基準監督署への届出を義務付けています。
- 労働基準法第89条(作成及び届出の義務)
- 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
この「常時10人以上の労働者」とは、正社員だけのことではありません。パート(短時間労働者)や再雇用者であっても、常時勤務していれば数に含みます。
つまり、会社が作成する就業規則の対象となるのは、その事業場で働くすべての従業員です。
関連:就業規則の作成が義務付けられる「常時10人以上」の正しい数え方は?
- 行政通達(昭和23.8.3 基収第2446号、昭和24.4.4 基収第410号、昭和63.3.14 基発第150号)
- 同一事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差し支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部分であるから、・・・・・・(以下、省略)
パートや再雇用に適用される就業規則がない場合
前述のとおり、労働基準法が求めているのは、事業場で働くすべての従業員に適用される就業規則です。
そのため、正社員に適用される就業規則があっても、パートや再雇用に適用される就業規則がなければ、労働基準法第89条違反になります。
関連:就業規則本則とは何か?
パートや再雇用に適用される就業規則は「規程」なのか?
まとめ
労働基準法が求めているのは、事業場で働くすべての従業員に適用される就業規則です。
すべての従業員に適用される就業規則があれば、1つでも、雇用区分ごとに複数あっても構いません。
ただし、雇用区分ごとに複数の就業規則がある場合、法的には、その複数の就業規則すべてをまとめて、労働基準法が求める就業規則である、となる点にご注意ください。
なお、前述のとおり、重要なのは、名称ではなく記載内容です。とはいえ、以下の並びは違和感がありませんか?
- 就業規則本則
- 非正規従業員規程
- 継続雇用規程
あくまで実務上、そして便宜的に、会社は雇用区分ごとの就業規則を作成するわけです。
そのため、以下のように名称・用語を統一し、就業規則であることをわかりやすく明示しておくべきでしょう。
- 就業規則 - 正社員用
- 就業規則 - パート用
- 就業規則 - 再雇用者用