なぜ、就業規則の内容を理解する必要があるのか?

当事務所に寄せられる質問に、公平・中立な立場で、しかし正直かつ本音で回答します。
社労士事務所・業界の慣習の中には一般常識から考えておかしい部分が正直あります。しかし半ばタブーとされている質問であっても業界として信頼を得るためには、正直かつ本音で回答することが重要と考えます。

今回のポイント

Q:なぜ、就業規則の内容を理解する必要があるのか?
A:内容を理解し周知することで、従業員に服務規律などの遵守を求め、結果として将来のトラブルを未然に防ぐことができるから。

就業規則を作ったらトラブル防止?

「就業規則を作ることでトラブルを未然に防止できます」という社労士の営業トークがありますが、それは真っ赤な嘘です。

社労士がどんなに立派な就業規則を作っても、「作っただけ」の状態であれば、従業員トラブルは防止できません

Qちゃん
どんなに立派な就業規則でもダメなんですか? 何かあったら「虎の巻」みたいな感じで役に立つようなものじゃないんですか?
A先生
そもそも、すべての会社に対応できる「立派な就業規則」なんて作ろうと思ったら、ありとあらゆるケースを想定して作ることになります。辞書といったら大袈裟ですが、ものすごい厚さの就業規則なんて嫌がる会社の方が多いですよね😅
Qちゃん
確かに、シンプルな就業規則の方が良いですね・・・
A先生
その「シンプル」にも誤解が多いんですけどね。。。

関連:中小企業はシンプルな就業規則で本当に良いか?

就業規則は、働く上での会社と従業員のルールです。

にも関わらず、社労士に丸投げして就業規則を▽つくただけで、社内の誰も就業規則の内容を理解していない状態ではありませんか?

担当者すら内容を理解していないのに、就業規則を作って置いてあったら、従業員がそのルールを自ら学んで理解すると思いますか?

Qちゃん
確かに、就業規則をわざわざ読む人って聞かないですよね。
A先生
はい。率直に言うと、就業規則を読みたがる従業員がいたら、現状のルールを確認しようとしている、つまり会社に不満・苦情をまさにぶつけようとしている前の状況だと言えそうです。
Qちゃん
となると、誰かに就業規則の内容を説明してもらう必要がありますね。知らないルールなんて守れませんし。
A先生
はい。だからこそ周知は必要ですし、特に服務規律の部分は定期的に説明をしておく必要があります。そういう労務の基本的なことをしていない会社に限って、一般常識や社会常識といった話を持ち出します。
Qちゃん
一般常識なんて言われても人によって違いますもんね。だからトラブルになるんですね。

担当者がルールを知らなければ、従業員からの意見・要望・苦情にも対応できません。

従業員が質問する度に「すぐに社労士に聞いてみます」としか回答しない人事労務担当者を従業員が信頼できると思いますか?

つまり、「会社の働くルール」を記載している就業規則の内容を社内の誰も一切知らない状態というのは、組織としてかなり危い状態と言わざるを得ないのです。

Qちゃん
「就業規則を見直すことで従業員が自律的に働く」といった宣伝を見たこともありますけど、それもウソですか?
A先生
ウソですね。社労士に任せて内容を変更しただけでは不可能です。きちんと従業員に説明し理解してもらい、そして遵守してもらうことが不可欠です。
法律が改正されたからといって、国民すべてが自ら法律を読んで理解し遵守しようとはしませんよね? 周知活動、啓蒙活動が大事であり、まったく同じです。
Qちゃん
確かに・・・😅

関連:なぜ、就業規則の周知は必要なのか?

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就業規則をどこまで理解しておくべきか?

Qちゃん
でも、就業規則は分厚いので、1文1文の条文まで理解するのは不可能ではありませんか?
A先生
それは無理ですし、すべきでもないでしょう。労働法令もそうですが、枝葉でなく、根幹の部分を理解しておきましょうという趣旨です。「就業規則を以前社労士に作ってもらったが1度も見たことがない」って会社の話を意外に聞くんですよ。
Qちゃん
えっ、作成した社労士が1回は説明したんじゃないんですか?
A先生
会社が説明を拒否したのか、そもそも社労士が作成しただけで説明しなかったのか、それはわかりませんが。。。

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