今回のポイント
Q:就業規則の意見を聴く過半数代表者は、正社員やパートによる別個の過半数代表者で良いのか?
A:ダメ。すべての従業員の過半数を代表するものでなければならない。
労働基準法では、常時10人以上の従業員がいる事業場に、就業規則の作成、労働基準監督署への届出を義務付けています。
そして以下で解説しているとおり、常時10人以上にはパートやアルバイトも含みます。
関連:就業規則の作成が義務付けられる「常時10人以上」の正しい数え方は?
また、就業規則の対象となるのは、その事業場で働くすべての従業員です。
- すべての従業員を対象とする就業規則を1つ
- 正社員用の就業規則、パート用の就業規則など複数
のどちらでも構いませんが、会社として複数の就業規則を作っていても、法的にはそれらを合体したものが1つの就業規則となります。
就業規則本則だけでなく「○○規程」なども就業規則に含まれるんですよね?
その通りです。そもそも「就業規則本則」といった法的な定義のない造語があるからややこしいんです。
関連:就業規則本則とは何か?
就業規則の意見を聴く過半数代表者は、正社員やパートによる別個の過半数代表者で良いのか?
労働基準法が求める就業規則は、あくまで1つです。
会社が便宜的に複数に分けていても、法的には、それらを合体して1つの就業規則とみなします。
1つの就業規則であるから、意見を聴かなければならないのは、すべての従業員の過半数を代表する者となります。
正社員用の就業規則は正社員の過半数代表者に、パート用の就業規則はパートの過半数代表者に意見を聴く、というのは間違いということですね。
はい、間違いです。あくまで1つの就業規則について、すべての従業員の過半数代表者に意見を聴かなければなりません。
ただし、パートタイマー用などの就業規則が別にある場合は、パートタイマーの過半数代表者を選出して意見を聴くという努力義務はあります。
ただし、パートタイマー用などの就業規則が別にある場合は、パートタイマーの過半数代表者を選出して意見を聴くという努力義務はあります。
- 行政通達(昭和23.8.3 基収第2446号、昭和24.4.4 基収第410号、昭和63.3.14 基発第150号)
- 同一事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差し支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部分であるから、その作成又は変更に際しての法第90条の意見の聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要である。
なお、これに加えて、使用者が当該一部の労働者で組織する労働組合等の意見を聴くことが望ましい。
- パート・有期雇用法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第7条(就業規則の作成の手続)
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- 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。
- 前項の規定は、事業主が有期雇用労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとする場合について準用する。この場合において、「短時間労働者」とあるのは、「有期雇用労働者」と読み替えるものとする。