Q:なぜ、労使協定の過半数代表者は重要なのか?
A:労使協定の当事者が適正でなければ、労使協定そのものが無効になるため。
過半数代表者とは?
労使協定とは、労働者側の代表と使用者側の代表の双方の約束事を書面にして締結する契約(協定)です。
その労働者側の代表となるのが、過半数代表者です。
過半数代表者とは、
- 労働組合があるのであれば、事業場のすべての労働者の過半数で組織する組合を代表する者
- 労働組合がないのであれば、従業員の過半数を代表する者
ということです。なお、従業員の過半数を代表するとは、正社員だけでなくパートやアルバイトなど事業場のすべての労働者の過半数を代表するという意味です。
なぜ、労使協定の過半数代表者は重要なのか?
以下の記事で解説しているとおり、労働基準法は、必要な場合には罰則を課される強行的法規であり、労働基準法を下回る就業規則や労働契約は原則として無効になります。
ただし、一部の規制については、事業場の労使による協議のもと、労使協定を締結することで、労働基準法の強行的な規制を解除することができます。
労使協定がそんな強い効力を有する理由は、労働者側の代表(過半数代表者)と使用者側の代表(会社)がきちんと話し合って締結したからです。
では、過半数代表者が要件を満たしていなかった、適切な選出方法ではなかった、そのような状況ではどうでしょうか?
法令が求める適正な相手(過半数代表者)との協定ではないので、その労使協定は無効です。法令の要件を満たしていない労使協定にも関わらず、強行法規である労働基準法の規制を解除したいというのはムシの良い話であり、無効になるのは当然です。
具体例を示すと、36協定を締結することで、協定の定める時間まで労働基準法による規制が解除される、つまり時間外労働が可能になります。
逆に言えば、36協定がなければ、労働基準法の規制を超えた時間外労働は違法となります。
つまり、会社は、労使協定として36協定を締結し、労働基準監督署に届出をしたつもりであっても、
となるわけです。労使協定の内容以前に、過半数代表者の要件を満たしているか、選出方法は適正だったか、という点が最重要である理由がわかりましたでしょうか?

