Q:就業規則と社内規程の違いは何か?
A:法的には、労働基準法が求める「就業規則」があって、それ以外が会社による任意の社内規程となる。
インターネット上に「社内規程と就業規則の違い」といった解説記事を見ることがあります。また、社労士事務所のウェブサイトには以下のような料金表が掲載されていたりします。
作成する書類 | 費用 |
---|---|
就業規則本則 | 200,000円 |
賃金規程 | 100,000円 |
育児・介護休業規程 | 50,000円 |
継続雇用規程 | 50,000円 |
退職金規程 | 50,000円 |
社有車管理規程 | 50,000円 |
自動車通勤規程 | 50,000円 |
出張旅費規程 | 50,000円 |
慶弔見舞金規程 | 50,000円 |
その他の規程 | 50,000円 |
関連:就業規則本則とは何か?
社内規程は原則自由
あなたの会社にも「○○規程」といった名称の規程があるかもしれませんし、コロナ禍においてテレワークが推奨されていることもあって「テレワーク規程」を急いで準備した会社もあるでしょう。
ここで重要な点は、会社がどんな社内ルールを定めても自由ということです。それが「社内規程」です。
ただし、社内規程の適用範囲・内容によっては、就業規則の一部になります。
社内規程と就業規則の整理
そのため、まず第1段階として行うべきことは、
- 「労働基準法が求める就業規則は何か」という点を理解する
ことです。以下の記事で解説していますが、ポイントは「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」を正確に理解することです。
そして、第2段階として、社内規程について、
- 就業規則の「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」に該当する内容であれば、その規程は就業規則の一部と扱う
- それ以外の規程は、就業規則と無関係の単なる社内規程と扱う
といった整理を行います。この整理は後々極めて重要になります。
(例)社内規程と就業規則の整理
会社にとって「後々の管理が煩雑になる」「放置されがちになる」といった実情があるため、当事務所では就業規則以外の規程を多く作るのはあまりオススメしていません。目的ごとに規程を作るのは本来は良いことなのですが。
なお、別規程を勧める社労士事務所の隠れた本音は、以下の記事で解説しています。
ただ、例示した方がわかりやすいと思いますので、社労士事務所がよくオススメしている以下の社内規程を用いて、就業規則との関係を整理してみます。
- 絶対的必要記載事項
- 賃金規程
- 育児・介護休業規程
- フレックスタイム制規程
- テレワーク規程
- 相対的必要記載事項
- 退職金規程
- 労働安全衛生規程
- ハラスメント防止規程
- 出向規程
- SNS運用規程
- 懲戒委員会規程
- 出張旅費規程
- 慶弔見舞金規程
- 社内貸付金規程
- 社宅管理規程
- 貯蓄金規程
- 持株会規程
- 社有車管理規程
- 自動車通勤規程
絶対的必要記載事項は、就業規則に絶対に記載しなければならない事項です。
そのため、就業規則と別に「社内規程」を作ったとしても、それは労働基準法が求める就業規則であり、どんな名称にしても就業規則の一部として扱う必要があります。
それに対して、相対的必要記載事項は、会社内でルールとして定めた場合に就業規則に記載しなければならない事項です。
そのため、就業規則の一部となるのか、それとも就業規則と無関係の単なる「社内規程」となるかは、適用範囲と内容次第ということになります。