今回のポイント
Q:賃金規程と給与規程の違いは何か?
A:記載内容によるが、おそらく同じ。ただ、労働基準法令をきちんと理解している人は「賃金規程」を用いる。
確かにたまに「給与規程」という名称を見ることがあります。「賃金規程」と違うんですか?
就業規則の委任を受け、賃金の計算方法や支払時期などの記載内容があれば、同じものです。
えっ、同じ内容なのに名称が違うことがあるんですか?
賃金に関する絶対的必要記載事項の内容を含んでいれば、どんな名称でも構いません。ただ、労働基準法では「賃金」と定義されているので、本来は「賃金規程」の方が良いと思います。割増賃金とは言いますが、割増給与とは言わないわけですし。
労働基準法第89条に基づき、常時10人以上の従業員がいる事業場には、就業規則の作成、労働基準監督署への届出が義務付けられています。
関連:就業規則の作成が義務付けられる「常時10人以上」の正しい数え方は?
そして、就業規則には、絶対に記載しなければならない事項「絶対的必要記載事項」として、具体的には以下の事項を定めることが求められています。
- 始業及び終業の時刻
- 休憩時間
- 休日
- 休暇
- シフト制の場合の就業時転換
- 賃金の決定、計算・支払の方法
- 賃金の締切・支払の時期
- 昇給
- 退職・解雇
上の「賃金の決定、計算・支払の方法」「賃金の締切・支払の時期」「昇給」の部分について、就業規則から抜き出して作成するのが「賃金規程」です。
就業規則から抜き出して作成しても良いんですね。
きちんと就業規則との委任関係を定めていれば規程として別に作成しても構いません。ただ、賃金規程も就業規則になることに注意が必要です。
「賃金」の部分を就業規則から抜き出して作るので「賃金規程」なんですね。なぜ「給与規程」という名称にするんでしょうか?
所得税法では「給与所得」というので、それで給与に関する規程 = 給与規程としているのかもしれませんね。