社労士と契約する際、顧問契約と個別契約のどちらが良い?

当事務所に寄せられる質問に本音で回答します。
社労士事務所・業界の慣習の中には一般常識から考えておかしい部分が正直あります。しかし、業界として信頼を得るためには、半ばタブーとされている質問であっても、公平・中立な立場、そして正直かつ本音で回答することが重要と考えます。

今回のポイント

Q:社労士と契約する際、顧問契約と個別契約のどちらが良い?
A:依頼内容が継続的なのか一時的なのかによって判断することになる。悩んだときは、個別に依頼して相性などをチェックすることが重要。

社労士との契約には、主に以下の2種類の契約形態があります。

  • 顧問契約
  • 個別契約(スポット契約)

顧問契約とは、毎月定額の報酬を社労士に支払う契約を指しますが、実態として、以下の2つのタイプがあります。

  1. 作業代行タイプ
  2. 相談・情報入手タイプ

また、個別契約(スポット契約)とは、以下のような一時的または1回限りの作業または相談を依頼する場合の契約を指します。

  1. 労働基準監督署、年金事務所などの調査対応
  2. 従業員とのトラブルが発生した際の対応
  3. 突発的な社会保険・労働保険の手続き
  4. 助成金の申請代行 など
Qちゃん
なるほど。継続的に依頼するか、それとも一時的、または1回限りの依頼なのかによって判断するわけですね。
A先生
はい。その通りです。ただ、会社が1回限りと思っていても、例えば、労働基準監督署の調査対応など、結果的に対応期間が数か月になる場合もあります。

断続的な依頼の場合はどうすべきか?

Qちゃん
毎月の依頼ではない、しかし、一時的とも言えない断続的に依頼が続きそうな場合はどうしたらよいのでしょうか?
企業の立場で考えたら、必要になったときにその都度、個別契約を結ぶ形にした方が金銭的に得ですよね?
A先生
確かに、私も企業の立場ならそう考えます。しかし、時期によっては、社労士から断わられる可能性がある点は知っておいてください。

毎月なんらかの作業や相談があるのであれば、顧問契約をオススメしますが、

  • 2か月おき、3か月など断続的に依頼・相談がある場合
  • そもそも断続的に依頼・相談があるかどうかも不明な場合

という状況のときは、「その都度、個別契約を結ぶことは可能か?」と社労士に交渉してみるのも1つの手です。

Qちゃん
そんな本音で質問をしても良いんですか? 嫌がられそうな気がしますが・・・😅
A先生
もちろんです。むしろ、本音で付き合える社労士を選ぶべきですし、その質問に嫌がる社労士とは契約をしない方が良いと思います。

社労士法により、社労士には、依頼に応ずる義務が課せられています。そのため、社労士は、原則として依頼があれば受けなければなりません。

社労士法第20条(依頼に応ずる義務)
開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く。)を拒んではならない。

ただし「正当な理由がある場合」に限って、社労士は依頼を断ることができます。

この点について、茨城社会保険労務士会は以下のように回答・解説しています。

社会保険労務士の公的な立場、職責のほか、業務運営の実情、依頼された事件の内容等を考慮する必要がありますが、例えば、依頼された事件が法令に違反するものであるとき、社会保険労務士の業務の範囲を超えるものであるときはもちろん、依頼された事務の内容からみて依頼者の希望の日時までに処理することが困難な場合等のように、依頼を拒む理由に故意性がなく、かつ、法律的、時間的、物理的にみて依頼に応ずることが困難とみられる相当な理由があるときは、「正当な理由」があるものとされています。

社会保険労務士は、依頼された仕事を断る自由が制限されているそうですが、どういう意味なのでしょうか。社会保険労務士は仕事を依頼されると断れないということでしょうか。」(茨城社会保険労務士会)より

Qちゃん
なるほど。「依頼された事務の内容からみて依頼者の希望の日時までに処理することが困難な場合」という点で断らざるを得ないということですね。
A先生
はい。既にスケジュールが詰まっていて、緊急対応を行うことは不可能という場合はありえます。
それに、不得意業務だったり、期限に間に合わないのに、安易に受ける社労士の方が無責任とも言えます。
Qちゃん
なるほど。毎月でなくても断続的な相談が見込まれるのであれば、顧問契約にしておいた方が無難ということですね。
A先生
はい。ただ、顧問契約をする前に、一度、個別契約をして相性などを確認することをオススメします。
Qちゃん
えっ、専門性じゃなくて相性を確認するんですか?
A先生
はい。その社労士が努力をするという前提ではありますが、経験をすることで専門性は向上します。それよりも「相談しやすい」「対応に納得できる」といった相性の方が重要と考えています。
Qちゃん
専門性の高い人を探して依頼すれば良いのでは?
A先生
もちろん、その会社が求める専門性の高い人を探すことができるなら良いですよ。ただ、距離、費用、やり取りのしやすさなど、すべてがピッタリという人を探すのは現実的には難しいでしょう。だからこそ、最優先は相性、だと私はアドバイスをしています。

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