Q:労使協定とは何か? どんな効力があるのか?
A:労働者側・使用者側の代表による約束事を書面にして締結する契約であり、法規制を免除する効力がある。
労使協定とは何か?
労使協定とは、労働者側の代表と使用者側の代表の双方の約束事を書面にして締結する契約(協定)です。
労働基準法は、日本国憲法の勤労条件の基準法定の要請を受けて制定されたものであり、必要な場合には罰則を課される強行的法規です。
そのため、労働基準法を下回る就業規則や労働契約は原則として無効になります。ただし、一部の規制については、事業場の労使による協議のもと、労使協定を締結することで、強行的な規制を解除することができます。
労基法においては、事業場の労使協定の締結(多くの規定では届出も)には、協定の定めるところにより、同法の一定の法規制を免除してもらえるという効果(罰則の適用を免れるという免罰的効果と13条の強行的補完的効力を免れるという効果)が認められている。(労働法第12版、菅野和夫、p170より)
労使協定にはどんな効力があるのか?
免罰的効果のある労使協定の代表例が、時間外、休日労働に関する協定(いわゆる36協定)です。
日本企業で、時間外労働がゼロという企業はかなり少ないでしょうから、ほぼすべての企業が36協定を締結している・・・はずです。
労働基準法により、労働時間は週40時間、1日8時間までと規制されています。ただし、労使による36協定を締結することで、協定の定める時間まで規制が解除される、つまり時間外労働が可能になります。これが免罰的効果です。
逆に言えば、36協定がない、従業員の過半数代表者が適切に選出されていないなど労使協定が有効に締結されていなければ、免罰的効果は発生しないため、労働基準法がそのまま適用され、週40時間、1日8時間を超えた労働は違法となります。
なお、労使協定の効力として36協定の免罰的効果を解説しましたが、36協定によって、従業員に時間外労働・休日労働をさせる義務が発生するわけではないという点は誤解のないようにご注意ください。
従業員の民事上の義務は、あくまで就業規則や雇用契約等の根拠が必要です。
労働基準法上の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰効果を持つものであり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要なものであること。(昭和63.1.1 基発第1号)