Q:年休の計画的付与に関する労使協定の締結後、業務の都合で計画年休日を変更できるか?
A:労使協定の中で変更する場合がある旨定められていれば可能。定められていなければ、再度、労使協定を締結しなおす必要がある。
年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定の効果
年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定を締結することにより、その中で指定された年休の日については、従業員の時季指定権も使用者の時季変更権も行使できなくなります。
Q:労使協定による計画的付与において、指定をした日に指定された労働者を就労させる必要が生じた場合、使用者は時季変更権を行使できるか。
A:計画的付与の場合には、労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない。
(昭和63.3.14 基発第150号、平成22.5.18 基発0518第1号)
つまり、労使協定により計画的付与されることになった年休については、労働者の時季指定権が行使できないため、
- 従業員がその年休を別の日に変更したいと申し出ても、会社はそれを拒否することができ、労使協定に定めた計画通りに付与すれば良い
となりますし、逆に、使用者の時季変更権も行使する余地がないため、
- 使用者としても労使協定に定められた計画年休日を任意に変更することはできない
ということです。では、業務上の必要性が生じた場合どうすれば良いのか、ポイントは「任意に」という部分です。
業務の都合で計画年休日を変更したい場合
前述のとおり、使用者による時季変更権は認められていないため、時季変更権ではなく労使協定上の変更、つまり、
- 業務の都合でやむを得ない場合に限って計画年休日を変更する場合があること
をあらかじめ協定の中で定めていれば、計画年休日を変更することは可能となります。
しかし、計画年休日を変更できる旨が労使協定に定められていない場合は、年休の計画的付与が労使協定によって認められるという法の趣旨から、労使の合意によりその協定を解約し、別途、労使協定を締結せざるを得ません。
なお、従業員側の同意が得られず、年休の計画的付与に関する労使協定の解約、新たな年休の計画的付与に関する労使協定の締結ができないときは、計画年休日の変更はできません。