Q:社会保険労務士法人と社会保険労務士事務所の違いは何か?
A:「法人」と「個人事業主」の違いであり、業務内容に違いはない。
社会保険労務士法人とは?
社会保険労務士法人(社労士法人)は、社労士が設立する法人です。
株式会社等の法人設立と同様に、定款の作成、認証、出資金の払込みなど手続を行い、主たる事務所の所在地において設立の登記をします。
以前は、2人以上の社員による設立が必須でしたが、平成28年1月1日から、社員が1人の社労士法人の設立も可能となっています。
なお、社会保険労務士法第25条の8により、社労士法人の「社員」は社労士である必要があります。
つまり、社労士の資格を持って、社労士会に登録をしている社労士が1人であれば、複数の従業員がいる社労士法人でも「1人法人」となります。
社会保険労務士法人と社会保険労務士事務所の違いは何か?
それに対して、社会保険労務士事務所または社労士事務所は、社労士が個人事業主として活動する個人事務所です。
個人事務所といっても、複数の従業員、社労士を抱える社労士事務所も多くあります。
つまり、社会保険労務士法人と社会保険労務士事務所の違いは、
- 「法人」と「個人事業主」の違いだけ
ということです。
もちろん、一般的な法人設立と同様に、様々な手続きが必要であり、社員が1人の「1人法人」ではあらかじめ「後継候補者」を定める必要があるなど社労士法人ならではの付加的な要素もあります。
業務内容、経理処理、秘密保持等のセキュリティ等の違いはない
業務内容、経理処理、秘密保持等のセキュリティ等について、社会保険労務士法人と社会保険労務士事務所に違いはありません。
まず、業務内容は、代表または所属する社会保険労務士の力量の問題です。
結局業務をするのは社労士ですし。また、社労士法人、個人事務所に関わらず、業務を行っているのが資格を有する社労士とは限りませんし。
次に、法人と個人の経理処理は異なりますが、一般の法人でも脱税の問題が報道されるように、法人だからしっかりしている、個人事務所だから杜撰というわけでもありません。
また、そもそも社労士自体に秘密保持義務・守秘義務があります。
そのため、秘密保持等のセキュリティ等について、法人と個人事務所に違いはない、というより、あってはならないわけです。
実際、厚生労働省のウェブサイトには、
として、不正行為を行った社労士の氏名が公表されていますが、個人事務所の社労士もいれば、社労士法人も掲載されています。
まとめると、社会保険労務士法人と社会保険労務士事務所の違いは、
- 法人格を有しているかどうか
ということだけです。それ以外の部分は結局、代表の社労士本人の問題であり、法人・個人事業主の違いではありません。
それに「法人じゃなきゃ契約しない」という会社には訴求できるかもしれませんし。