専門誌ビジネスガイドで「年金法大改正」として2020年通常国会に提出された国民年金・厚生年金法案に関して執筆

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労働・社会保険、税務の官庁手続&人事労務の法律実務誌「月刊ビジネスガイド」よりご依頼をいただき、「年金法大改正」と題して、2020年通常国会に提出された国民年金・厚生年金法案に関する法改正の内容、企業実務への影響とその対応について執筆しました。

国民年金法・厚生年金法の改正だけでも内容は多岐に亘りますが、企業の実務への影響という観点から取り上げた内容は以下の改正部分です。

  1. 被用者保険の適用拡大
    • 短時間労働者を被用者保険の適用対象とする事業所の企業規模要件の段階的な引き下げ(現行500人超 → 100人超 → 50人超)
    • 短時間労働者の勤務期間要件の短縮(現行1年以上 → 2か月超)
    • 法律・会計事務を取り扱う士業の個人事業所を適用業種に追加
  2. 高齢期の就労と年金受給の在り方等
    • 60~64歳の在職老齢年金制度の支給停止基準額の引き上げ(現行28万円 → 47万円)
    • 65歳以上を対象に在職中から年金額改定を毎年行い、早期に年金額を増額させる仕組み(在職定時改定)の導入
    • 年金の受給開始時期の選択肢の拡大(現行60〜70歳 → 60歳〜75歳)
  3. その他の制度改正事項
    • 2か月以上の雇用が見込まれる方の被用者保険の早期加入措置
    • 脱退一時金の支給上限年数の引上げ(現行3年→5年)
    • 厚生年金保険法における日本年金機構の調査権限の整備

以前から問題点が指摘されていた在職老齢年金制度の支給停止基準額の引き上げがあり、また、高年齢者雇用安定法の改正に伴う70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務にも関連した法改正となっているため、企業の実務の観点からは高齢者の雇用・再雇用のこれまでの方針に大きな影響を及ぼす改正となっています。

今後数年間をかけて施行されていくため、企業としては人事制度の見直しを段階的に行っていく必要がありますね。

書店でも販売されているので、目にした方はご笑覧ください。

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