法的に保存義務が定められている人事労務関連の書類、その保存期間、法的な根拠を抑えておくことは、人事労務担当者にとって基本中の基本です。
多くの会社に共通する主な書類は、以下の表のとおりです。
ただし、特別教育や定期自主検査の記録など、労働安全衛生法令の規制を受ける業務を行っている会社に求められる書類については、以下の表に含まれていないため、その点はご容赦ください。
なお、保存期間については、起算日、つまり「いつ」が最初の時点になるのかを抑えておくことが極めて重要です。
文書名 | 起算日 | 期間 | 根拠 |
---|---|---|---|
労働者名簿 | 労働者の死亡・退職・解雇の日 | 5年(※1) | 労基法109、労基則56 |
賃金台帳 | 最後の記入日 | 5年(※1) | 労基法109、労基則56 |
雇入・退職に関する書類 (雇用契約書、労働条件通知書など) |
労働者の退職・死亡の日 | 5年(※1) | 労基法109、労基則56 |
災害補償に関する書類 | 災害補償の終了日 | 5年(※1) | 労基法109、労基則56 |
賃金その他労働関係の重要書類(※2) | 完結の日 | 5年(※1) | 労基法109、労基則56 |
安全衛生委員会議事録 | 作成日 | 3年 | 安衛法103、安衛則23 |
健康診断個人票 | 作成日 | 5年 | 安衛法103、安衛則51 |
面接指導結果 | 作成日 | 5年 | 安衛法103、安衛則52の6 |
雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿 | 完結の日 | 4年 | 徴収則72 |
労働保険の徴収等に関する書類(上の処理簿以外) | 完結の日 | 3年 | 徴収則72 |
雇用保険の被保険者に関する書類(※3) | 完結の日 | 4年 | 雇保則143 |
雇用保険に関する書類(※4) | 完結の日 | 2年 | 雇保則143 |
労災保険に関する書類 | 完結の日 | 3年 | 労災則51 |
障害者の雇用に関する書類 | 労働者の死亡・退職・解雇の日 | 3年 | 障害者雇用促進法81の2、障害者雇用促進法則43 |
健康保険・厚生年金保険に関する書類(※5) | 完結の日 | 2年 | 健保則34、厚年則28 |
※1 労働基準法第109条では「5年」となっているが、附則により、当分の間は「3年」とされている。
※2 その他労働関係の重要書類の例
- 出勤簿
- タイムカード等の記録
- 労使協定の協定書:解説
- 各種許認可書
- 始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類(使用者自ら始業・終業時間を記録したもの、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書)
- 退職関係書類
- 休職・出向関係書類
- 事業内貯蓄金関係書類等
※3 雇用保険の被保険者に関する書類の例
- 雇用保険被保険者資格取得確認通知書
- 同資格喪失確認通知書(離職証明書の事業主控)
- 同転出届受理通知書
- 同転入届受理通知書
- 同氏名変更届受理通知書など
※4 雇用保険に関する書類の例
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険事業主事業所各種変更届など
※5 健康保険・厚生年金保険に関する書類の例
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認通知書
- 標準報酬月額決定通知書
- 同改定通知書など
書類の数も多いし、起算日も期間も、書類によってバラバラなんですね。
確かに、こうしてまとめてみると多いですね。だからこそ「人を雇用するのは大変」とも言えますし、社労士のチェックを定期的に受けた方が良い気がします。
ただ、便利なクラウドソフトが増えてきたから、社労士は不要っていう風潮がありませんか?
そうですね。ただ、設定や入力をするのは人ですから・・・。法令を理解せずに間違った設定や入力をして、間違った情報のままになっている企業を見ることが多いんですよ😅