思い込みやイメージではなく、データを踏まえて正しい状況を説明するのが当事務所のスタンスです。
今回は、変形労働時間制(1年単位、1か月単位、フレックスタイム制)の導入状況に関するデータを紹介します。
変形労働時間制の導入状況
厚生労働省が発表している「令和6年就労条件総合調査」によると、
- 変形労働時間制がある企業割合は60.9%(令和5年調査59.3%)
となっており、企業規模別の導入状況は以下のグラフのとおり。
なお、変形労働時間制がある企業割合と変形労働時間制がない企業割合の合計が100%となっていないのは「不明」の企業を含むためです。
以下はグラフを表示しています。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
変形労働時間制の種類別導入状況
変形労働時間制を導入している企業60.9%の内訳は以下のとおり。なお、1企業で複数の制度を導入している場合があるため、合計して100%にはなりません。
- 1年単位の変形労働時間制:32.3%
- 1か月単位の変形労働時間制:25.2%
- フレックスタイム制:7.2%
全体で見ると、フレックスタイム制の導入状況はかなり低調であることがわかります。
規模別に見ると、以下のグラフのとおり。
以上のグラフから、
- 1年単位の変形労働時間制は、規模が小さい企業ほど多く利用
- 1か月単位の変形労働時間制は、規模が大きい企業ほど多く利用
- フレックスタイム制は、規模が大きい企業ほど多く利用
という傾向が顕著になっています。
後述のとおり、業種によって制度の活用の違いが生じるのは理解できますが、規模によってこれほど異なるのは興味深いところです。理由はいくつか想像できますが。
変形労働時間制の業種別導入状況
業種別の導入状況をまとめたのが以下のグラフです。
業種別のデータが集計された最新の結果は「平成30年就労条件総合調査」であるため、以下のグラフは若干古いデータとなっています。
やはり業種別に見ると違いが顕著に出ています。
フレックスタイム制の導入割合は全体的に低調ですが、以下の業種では「1年単位の変形労働時間制」や「1か月単位の変形労働時間制」よりも利用されています。
- 情報通信業
- 学術研究、専門・技術サービス業
専門性が高く、働き方の柔軟性・裁量を与えやすい業種であるため、理解できますが、それでもどちらも30%未満となっています。
変形労働時間制の導入における留意点
以下の3つの制度を導入する際には、以下のとおり就業規則への定めが必須です。
実際は、制度の導入よりも運用面の方が重要なのですが😅
- 1か月単位の変形労働時間制:就業規則または労使協定
- 1年単位の変形労働時間制:就業規則・労使協定の双方
- フレックスタイム制:就業規則・労使協定の双方