経営労務診断実施企業:日進化学(株)渡邉裕美 代表取締役社長インタビュー
人を大切にする企業「職場環境改善宣言」、その後「経営労務診断実施企業」の認証マークを取得された、福岡県遠賀郡遠賀町の「日進化学株式会社」の渡邉裕美代表取締役社長に、事務所代表の安部がインタビューをしました。
といっても、普通の会社紹介のようなインタビューをしても面白くありません。せっかくの機会なので、社長の人柄や将来のビジョンなど本音を引き出す率直な質問をしました。
- 職場環境改善宣言企業:職場環境の改善に取組む企業が宣言し、自らまたは社労士に依頼して、自社の職場環境をチェック
- 経営労務診断実施企業:「職場環境改善宣言」を行った上で、「経営労務診断基準」に基づき所定の項目について社労士の確認を受けた企業。
- 経営労務診断適合企業:「職場環境改善宣言」を行った上で、所定の項目について社労士の確認を受け、「経営労務診断基準」に基づき必須項目のすべてが適正と認められた企業。
— 渡邉社長は米国大学卒ということですが、米国に留学した理由を教えてください。 国籍の違う人、世界の色々な人と話してみたかったからです。生まれ育った遠賀町で外国人の方と出会う機会はありませんでしたから。
— えっ・・・、正直留学する理由として弱い気がしますが、語学の勉強がよく続きましたね。
叔母が米国にいたのもあって、米国でTOEFLの勉強をがんばりました。
— 勉強段階ですでに米国に行ったんですか・・・。すごい行動力ですね。米国の大学ではどんな研究をされたのでしょうか?
米国で生活していて興味があったことの1つに、日米の住宅の色・デザイン・家具、レイアウトなどの様々な違いです。強い興味・関心を持ち、どうしても理由を知りたいと思い、自由研究では、同級生3人で現地の一般住宅に「家を見せて欲しい」と突撃訪問し、研究成果としてまとめました。
— 知らない学生が突然「家を見せて欲しい」とやって来て、見せてくれるんですか?
もちろん研究の一環という説明はしますが、皆さんWelcomeな雰囲気で見せてくれましたよ。
— やはり行動力がすごいです。
— 渡邉社長は多趣味・好奇心旺盛と承知していますが、学生時代からですか?
5歳から中学生までピアノを習っていました。米国の大学でも、ピアノ科に所属すればピアノが弾き放題ということで所属しましたし。
また、18歳になってすぐに高校から特別に許可をいただき、教習所に行って車の免許を取得しました。そういえば、成績を落とさないという条件で、高校から特別に許可をいただきアルバイトもしました。
ゲームも好きで、一番始めにしたのは確かドラクエ(ドラゴンクエスト)、記憶が曖昧ですがドラクエ2だったと思います。
— 特別に許可をもらってまでしたいことをするって・・・、学生時代から行動力がすごかったんですね。
— 次に、社会人になってからの話を伺いますが、日本に帰国してからどんな就職活動をされたのですか?
英語を使って仕事をしたいと思い、空港で働こうと思ったのですが、22歳という年齢で断われました。高卒しかダメと言われてショックでしたね。
結局、約27年勤務することになった「業務用厨房機器メーカー」に就職しますが、きっかけは、父が新聞広告で見つけて教えてもらったからです。
英語を使う仕事として金融機関からも内定を得ていましたが、東京に引越すことが条件とされていたのもあってお断わりしました。
— 面白いきっかけですが、その後27年勤務することになるのも何かのご縁なんでしょうね。その後、日進化学に入社し、千葉工場の勤務を経て今に至るということですが、将来の構想・ビジョンを教えてください。
机をとっぱらった広い場所で、人がすれちがって様々なアイデアを交換し、より良いアイデアが出てくるような場を作っていきたいですね。
弊社はポリエチレンフィルム製品を主力に、包装資材メーカーとして成長を遂げてきた会社ですが、将来は、その枠を超えて、様々な相談が寄せられる会社、困ったことがあれば日進化学に相談しよう、そうすれば解決してもらえる、そんな未来を描いています。
— 想像を超えたビジョンが出てきて驚いているのですが、コミュニティのような場を作りたいということでしょうか?
大学とディズニーランドが融合された、アミューズメントパークのような場所にしたいと思っています。
楽しく学び、楽しく仕事ができ、いつでも様々な人とコミュニケーションできる場所です。
ミニ大学のように研究室があり、学ぶこともでき、色々なものを販売する場所、それはパン屋でも良いですし、社食があったり、保育・介護する場所もあって、さらに社員がアイデアをもとに色々な試みができる場所、色々な国籍の人がいる場所、そんな場所を遠賀町に作りたいというビジョンを描いています。
社内でこの話をしたら、「日進化学株式会社ではなく『日進村』ですね」と言われましたが。
— スケールが大きすぎて、社長のおっしゃっているイメージを文章化できるか自信がありません。。。夢・願望というより、実現するという強いイメージですか? それは遠賀町で実現したいことなんでしょうか?
イメージできていないことは実現できないと言いますし、強いイメージを持つことで実現できると信じています。
遠賀町で実現したいです。生まれ育った場所ですし、遠賀町を活性化させ、もっと人の集まる場所にしたいと考えています。
— 社員の方々もそんなアクティブなのでしょうか?
そうですね。例えば、弊社にはウサギとポリ袋をモチーフにしたマスコット「ポリ美」があります。最近オンラインショップ「ポリ美研究所」を開設したのですが、せっかくならポリ美のおまけを作ってみたらと提案したところ、社員の発想により「特製オリジナル ポリ美ミニポシェット」ができ、その延長で社内に「お針子チーム」ができました。
人気がでてきたら、今後ポリ美関連商品の販売もあるかもしれませんが、社員が自由な発想で行動するのを見るとすごくうれしく感じます。
また、以前、私が「ポリ美のLINEスタンプを作りたい」と言ったら、社員が色々なLINEスタンプを作ってくれました。社員には色々なことに興味・関心を持ってもらいたいですし、社員の積極的な行動は後押ししていきたいと思っています。
— そういえば、御社の創業50周年記念誌を拝見したとき、一般的なものと異なる工夫をこらした内容に衝撃を受けましたが、これも社員の方々が制作されたものなんですよね?
弊社の50周年事業の一環として、記念誌の制作以外にも、名刺や封筒の制作、イベントの実施など、部署を超えて社員のチームができ、活発な議論の中で工夫をこらして取り組んでくれました。
特に、創業50周年記念誌の表紙では複数の案が出てきて、若手と年輩社員の間で意見が分かれ、かなりの議論になったようです。私はなるべく口を出さないように見守っていましたが。
部署・年齢に関わらず、社員の間で活発なコミュニケーションが生まれるのは良いことですし、創業50周年記念誌の表紙では、最終的に若手女性社員の意見が通ったのですが、その女性社員が「若手女性社員の意見に年輩の管理職が耳を傾けてくれた上に認めてくれた」と驚いていたのは印象的でした。
きちんと考えた上の意見であれば、管理職・年輩の社員は、若手社員の意見をちゃんと聞くし、むしろ意見を聞いてみたいと考えているのは弊社の良い社風だと思います。
— 今後も若手・中途採用を行っていくと思いますが、どんな人材を求めているのでしょうか?
好奇心旺盛で、どんなことにも意欲的・積極的な人は大歓迎ですが、弊社の社訓に共感して下さる方だったらうれしいなという気持ちはあります。
この社訓・社是は、私が社長に就任した際に考えたものですが、ビジョンを達成するにも根底にこれがないと難しいだろうなと考えています。
この社訓・社是を示したとき、ある社員から「私が大切にしている言葉が並んでいて共感した」と言われたときは本当にうれしかったですし。
— 正直、製造業で化学工場、社名から堅いイメージが最初はありましたが、社長の話や社員の方々が実践されていることを伺うと、自由で柔軟、そしてイキイキとした職場の様子を感じることができ、とても楽しいインタビューとなりました。
— 今回はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。
- 会社名:日進化学株式会社
- 住所:〒811-4342 遠賀郡遠賀町大字尾崎1716-2
- 設立:1971年9月
- 事業内容:ポリエチレンフィルム・ポリプロピレンフィルム製品の製造販売、ラミネートフィルム等多層フィルムの販売、その他包装資材販売
- 従業員:117人
- 拠点:(工場)千葉(営業所)宮城、千葉、東京、静岡、岡山、宮崎、鹿児島
- URL:https://nissin-chemical.jp/