特別休暇とは? 企業の導入率・種類・有給か無給か・就業規則での定め方

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就業規則に特別休暇を定めている会社は少なくありません。では、その特別休暇が有給か無給か、何日をどう数えるのか、パートの従業員にも与えるのかを、すぐに説明できるでしょうか。

本記事では、厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」をもとに特別休暇の導入状況と有給・無給の実態をグラフで紹介し、就業規則で定めておくべき事項を解説します。

Qちゃん
特別休暇は会社が自由に決められるものですよね。細かく決めておく必要があるんですか?
A先生
自由に決められるからこそ、決めていないことはすべて解釈の問題が生じます。設定する以上は就業規則に定めておかなければ後々トラブルになりかねません。

特別休暇とは

特別休暇とは、法定休暇とは別に、会社が任意に設ける休暇です。

法定休暇は、年次有給休暇、産前産後休業、育児休業、介護休業、子の看護等休暇など、労働基準法や育児・介護休業法で定められた休暇です。従業員から請求があれば、会社は必ず与えなければなりません。

これに対し特別休暇は、法律上の義務がありません。設けるかどうか、何日与えるか、有給にするかどうかを会社が決めます。

比較項目法定休暇特別休暇
根拠労働基準法、育児・介護休業法など就業規則、労働協約、労働契約
付与の義務あり(請求があれば与えなければならない)なし(設けるかどうかは会社の任意)
有給とする義務年次有給休暇のみありなし(会社が決める)
日数・要件法律で定められている会社が決める

特別休暇の主な種類は、次のとおりです。

  • 慶弔休暇(結婚、配偶者の出産、忌引など)
  • 夏季休暇
  • 病気休暇
  • リフレッシュ休暇(勤続年数に応じた休暇など)
  • ボランティア休暇
  • 教育訓練休暇

なお、法定休暇の日数を法律より多く与えている場合(例えば、育児休業の期間を延ばしている場合)、その上乗せ分も会社が任意に設けた部分です。

関連:休日と休暇の違い、法定休日と所定休日の違い

特別休暇制度がある企業の割合

ここからは、就労条件総合調査のデータを見ていきます。

注意

以下はグラフを表示しています。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。

推移:6割前後で横ばい

特別休暇制度がある企業の割合は、R7調査で60.3%(R6調査は59.9%)でした。

R5調査で55.0%に下がった年はありますが、平成30年調査以降はおおむね6割前後で横ばいです。特別休暇制度を設ける企業が増えているわけではありません。

調査の対象に慶弔休暇は含まれない

このデータを読むときには、注意点があります。

調査票で尋ねている特別休暇は、夏季休暇、病気休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇、教育訓練休暇、上記以外の1週間以上の長期の休暇の6種類です。慶弔休暇は選択肢にありません。

つまり、60.3%は「この6種類のいずれかがある企業」の割合です。「特別休暇制度がない企業」の39.4%には、慶弔休暇だけを設けている企業も含まれると読むべきでしょう。

種類別の割合

特別休暇制度の種類別の割合(複数回答)は、次のとおりです。

最も多い夏季休暇でも41.5%で、半数に届いていません。夏季休暇は多くの会社にあると思われがちですが、データ上は10社のうち4社程度です。

すべての種類でR6調査から上昇しており、特に「上記以外の1週間以上の長期の休暇」は13.8%から16.7%へと伸びています。

企業規模別の割合

企業規模別に見ると、規模が大きいほど特別休暇制度がある割合は高くなります。

種類別・企業規模別に見たのが、次のグラフです。

規模による差が大きいのは、リフレッシュ休暇とボランティア休暇です。リフレッシュ休暇は1,000人以上で44.4%ですが、30-99人では10.4%にとどまります。

一方、夏季休暇は企業規模による差がほとんどなく、どの規模でも4割前後です。

Qちゃん
夏季休暇は大きな会社ほど多いと思っていました。
A先生
お盆の時期を休日として年間カレンダーに組み込んでいる会社もあります。その場合は休暇ではなく休日なので、この調査の夏季休暇には入りません。夏季休暇の割合が低く見える理由の一つと考えます。

有給か無給か(賃金の支給状況)

特別休暇でよく問題になるのが、休んだ日の賃金を支払うかどうかです。

R7調査の原表(e-Stat 第14-2表)では、各特別休暇がある企業を100として、賃金の支給状況別の割合が集計されています。

夏季休暇とリフレッシュ休暇は、8割前後の企業が賃金を全額支給しています。

一方、病気休暇は全額支給が45.5%にとどまり、無給が37.4%です。ボランティア休暇と教育訓練休暇も、無給が3割を超えています。

なお、平成31年調査にも同じ集計があります。ただし、平成31年調査は賃金の支給状況が「不明」の企業を分母から除いており、R7調査とは集計の方法が異なります。

病気休暇は無給の割合が高い

病気休暇で無給の割合が高い理由として、次の2点が考えられます。

  1. 日数が長くなりやすい
  2. 無給でも、健康保険の傷病手当金で収入の一部が補われる

1点目について、平成31年調査では、1企業平均1回当たりの最高付与日数も集計されていました(R7調査にはこの集計がありません)。

特別休暇の種類1企業平均1回当たり最高付与日数(平成31年調査)
夏季休暇4.4日
病気休暇128.1日
リフレッシュ休暇5.5日
ボランティア休暇24.5日
教育訓練休暇17.6日
上記以外の1週間以上の長期の休暇8.8日

病気休暇は平均で128.1日と、ほかの休暇とは桁が違います。これだけの期間を全額有給にするのは、会社にとって負担が大きいと考えます。

2点目について、傷病手当金は、休んだ期間に会社から報酬が支払われると、その分が調整される仕組みです(健康保険法第108条第1項)。会社が賃金を支払っても、その分だけ傷病手当金が減ることになります。

業種によっても異なる

病気休暇の賃金の支給状況を、主な業種別に抜き出しました。

業種有給(全額)有給(一部)無給
全業種45.5%14.5%37.4%
製造業35.8%14.4%44.8%
建設業36.5%19.6%38.4%
運輸業、郵便業59.8%5.6%33.5%
医療、福祉45.1%11.8%42.7%
金融業、保険業71.5%25.4%2.3%

※ 病気休暇がある企業を100とした割合。「不明」があるため、合計は100%になりません。

製造業、建設業、医療・福祉では、病気休暇を無給とする企業が4割前後あります。一方、金融業、保険業では無給はわずか2.3%です。

制度があっても使われていない休暇もある

R7調査では、令和6年の1年間に各特別休暇の利用があったかどうかも集計されています(e-Stat 第15-2表)。

特別休暇の種類利用があった企業の割合
夏季休暇93.6%
病気休暇74.1%
リフレッシュ休暇76.9%
ボランティア休暇18.6%
教育訓練休暇45.2%
上記以外の1週間以上の長期の休暇77.3%

※ 各特別休暇がある企業を100とした割合。

ボランティア休暇は、制度がある企業の8割近くで1年間に一度も利用がありません。制度を設けることと、使われることは別の問題です。

Qちゃん
利用がほとんどないなら、規定を見直す必要もなさそうですね。
A先生
いえ、むしろ逆です。使われていない制度ほど、いざ申請されたときに要件が曖昧で困ることになります。何年も前に作ったまま、誰も中身を覚えていない規定は珍しくないため、定期的に就業規則をチェックしておくことが重要です。

就業規則での定め方

特別休暇は就業規則に必ず記載する

特別休暇を設けるかどうかは任意ですが、設けた場合は就業規則に記載しなければなりません。休暇は、就業規則に必ず記載すべき事項(絶対的必要記載事項)だからです。

労働基準法第89条(作成及び届出の義務)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(以下略)

就業規則の作成・届出の義務に違反した場合は、30万円以下の罰金の対象となります(労働基準法第120条第1号)。

慣行として特別休暇を与えているだけで、就業規則に書かれていない会社もあります。就労条件総合調査も、慣行として認められている休暇を特別休暇に含めて集計しています。しかし、慣行で与えている休暇も、就業規則に記載する必要があります。

有給か無給か

特別休暇の中で最もトラブルになりやすいのが、賃金の扱いです。

有給とする場合は、どの賃金を支払うのかまで決めておく必要があります。所定労働時間を働いた場合の賃金なのか、基本給のみなのかによって、支払う額が変わります。

有給の場合に支払う賃金は、労働基準法第89条第2号の「賃金の決定、計算」に関する事項でもあります。

日数の数え方と取得の期限

日数の数え方が曖昧だと、同じ「5日」でも人によって休める日数が変わります。実際、この関係でトラブルになった複数の事例を経験しており、主に次の点を決めておく必要があります。

  • 暦日で数えるのか、労働日で数えるのか(休日を挟んだ場合に休日を日数に含めるか)
  • いつから数えるのか(忌引であれば、死亡日からか、葬儀の日からか)
  • 連続して取得するのか、分けて取得できるのか
  • いつまでに取得しなければならないのか

対象者: パート・有期雇用の従業員への適用

特別休暇を正社員だけに与えている会社は、特に注意が必要です。

パートタイム・有期雇用労働法第8条は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の待遇について、不合理と認められる相違を設けることを禁止しています。

そして、同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)は、特別休暇について次のように示しています。

同一労働同一賃金ガイドライン 第3の5(3)(抜粋)
短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。
同一労働同一賃金ガイドライン 第3の5(5)
短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない。

ガイドラインは2026年(令和8年)4月28日に改正され(厚生労働省告示第203号)、10月1日から適用されています。この改正で、夏季冬季休暇の項目が新設されました。

また、病気休職の項目には「療養への専念を目的として付与する病気休暇」が含まれることが明記されました。通常の労働者に病気休職期間中の給与を保障する場合には、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者にも、同一の保障を行わなければならないとされています。

裁判例でも、日本郵便(東京)事件(最一小判令2.10.15)では、契約社員に夏期冬期休暇を与えないこと、正社員には有給の病気休暇を与え契約社員には無給の病気休暇しか与えないことが、不合理と判断されました。

Qちゃん
週2日しか勤務しないパートの方にも、正社員と同じ慶弔休暇を与えるんですか?
A先生
原則は、正社員と同じ慶弔休暇を与える必要があります。ただし、勤務日の少ないパートの方には、まず勤務日をずらして対応し、ずらせない場合に慶弔休暇を与えるという方法も、ガイドラインは問題ないとしています。

申請の手続きと確認の方法

特別休暇は法定の休暇でなく、何ら規制がないからこそ、いつまでに、誰に、どのように申請するのかを決めておくことも重要です。

慶弔休暇であれば、事後の申請を認めるかどうか、事実を確認する書類を求めるかどうかも論点になります。

手続きが決まっていないと、同じ休暇でも上司によって扱いが異なることになります。

年次有給休暇との関係

特別休暇と年次有給休暇は、別の制度です。

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員には、年5日を取得させる義務があります。厚生労働省は、会社が独自に設けた特別休暇を取得した日数は、この5日から差し引くことができないとしています。

特別休暇と年次有給休暇を区別せずに管理していると、年5日の義務を果たしていないことに気付けません。

関連:年次有給休暇とは? 付与日数・発生要件・パートの比例付与・時季変更権・時効と繰越

関連:年次有給休暇管理簿の記載事項・保存期間・実務上の注意点

実務上の注意点

有給か無給かが就業規則に書かれていない

就業規則に「慶弔休暇を与える」とだけ書かれ、賃金の扱いが書かれていないケースは珍しくありません。

これまで慣行として有給で扱ってきた場合、後から「無給のつもりだった」と主張するのは難しくなります。

正社員だけを対象としたままになっている

特別休暇の規定が、正社員用の就業規則にしか置かれていないケースもあります。パートタイマー就業規則に特別休暇の規定がなく、対象外なのか、正社員の規定を準用するのかが分からない状態です。

2026年(令和8年)10月1日からは、改正ガイドラインで夏季冬季休暇も明記されています。改正前に作った就業規則のままになっていないか、確認が必要です。

特別休暇の廃止・縮小を一方的に進めてしまう

特別休暇を廃止する、日数を減らす、有給を無給にするといった変更は、従業員にとって不利益な変更です。

就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更するには、変更の必要性や内容の相当性などに照らして、変更が合理的であることが求められます(労働契約法第9条、第10条)。

Qちゃん
パートの方にも与えるなら負担が増えるので、正社員の特別休暇を減らそう、という話になりそうです。
A先生
気持ちはわかりますが、それは正社員にとっての不利益変更です。待遇の差を解消するために、労使で合意することなく正社員の待遇を下げることは、ガイドラインでも望ましい対応とはいえないとされています。進め方には慎重な検討が必要です。

まとめ

データからわかる事実は、次のとおりです。

  • 特別休暇制度がある企業は60.3%で、6割前後の横ばいが続いている(慶弔休暇は調査の対象外)
  • 最も多い夏季休暇でも41.5%で、企業規模による差はほとんどない
  • 病気休暇は無給が37.4%で、製造業、建設業、医療・福祉では4割前後に達する
  • ボランティア休暇は、制度があっても8割近くの企業で利用がない

特別休暇は、設けなくても違法ではありません。しかし、設けた以上は、就業規則に正しく書かれていなければなりません。

有給か無給か、日数をどう数えるか、パートや有期雇用の従業員にも与えるかが曖昧なまま運用されていると、従業員とのトラブルや労働基準監督署の調査で問題になります。

なお、特別休暇の充実を考える前に、年次有給休暇や育児休業などの法定休暇を適切に運用できているかを確認することが先です。法定休暇が守られていなければ、それは違法という指摘につながります。

当事務所の場合

当事務所が就業規則の説明会を行うと、従業員から最も多く質問を受けるのが休暇・休業制度です。その中でも特別休暇の規定は、従業員にとって実生活に直結するため関心が高いものです。

あべ社労士事務所の代表社労士は、厚生労働省労働基準局で労働基準法令・労働安全衛生法令の政策立案に従事してきました。当事務所の就業規則コンサルティングでは、特別休暇の規定が、賃金の扱い、パート・有期雇用の従業員への適用、実際の運用と一致しているかを含めて確認します。

特別休暇の規定を、パート・有期の従業員も含めて見直すなら

厚生労働省労働基準局出身の代表社労士が徹底的にヒアリングし、御社の実態に沿った就業規則を作成します。

就業規則コンサルの詳細を見る

参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」/厚生労働省「平成31年就労条件総合調査」/厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

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