社労士と契約する際、顧問契約と個別契約のどちらが良い?

当事務所に寄せられる質問に、公平・中立な立場で、しかし正直かつ本音で回答します。
社労士事務所・業界の慣習の中には一般常識から考えておかしい部分が正直あります。しかし半ばタブーとされている質問であっても業界として信頼を得るためには、正直かつ本音で回答することが重要と考えます。

今回のポイント

Q:社労士と契約する際、顧問契約と個別契約のどちらが良い?
A:依頼内容が継続的なのか一時的なのかによって判断することになる。悩んだときは、個別に依頼して相性などをチェックすることが重要。

顧問契約と個別契約(スポット契約)の違い

社労士との契約には、主に以下の2種類の契約形態があります。

  • 顧問契約
  • 個別契約(スポット契約)

顧問契約とは、毎月定額の報酬を社労士に支払う契約を指しますが、実態として、以下の2つのタイプがあります。

  • 作業代行タイプ:給与計算、労働保険・社会保険の手続きなど、毎月発生する事務を代行してもらう
  • 相談・情報入手タイプ:人事労務の判断について相談し、法改正などの情報提供を受ける

実際には両方を含む契約が多いのですが、どちらに重心があるかで、顧問料の水準も、社労士に求めるものも変わります。

ただし、同じ「顧問契約」でも中身は事務所によって違います。「相談にも対応します」と説明されていても、実際には作業代行が中心で、踏み込んだ相談には応じてもらえないことがあります。

さらに、実際に対応するのが社労士とは限りません。社労士事務所と契約したはずなのに、担当者は無資格の職員だった、という話は珍しくありません。

顧問料の金額だけを並べて比較しても、意味がありません。 何をどこまでやってもらえるのか、誰が対応するのかを、契約の前に確認してください。

関連:社労士と契約する前に注意すべき点は?

また、個別契約(スポット契約)とは、以下のような一時的または1回限りの作業または相談を依頼する場合の契約を指します。

  • 労働基準監督署、年金事務所などの調査対応
  • 従業員とのトラブルが発生した際の対応
  • 突発的な社会保険・労働保険の手続き
  • 助成金の申請代行 など
Qちゃん
なるほど。継続的に依頼するか、それとも一時的、または1回限りの依頼なのかによって判断するわけですね。
A先生
はい。そのとおりです。ただ、会社が1回限りと思っていても、労働基準監督署の調査対応など、結果的に数か月に亘って依頼せざるを得なくなる場合もあります。

当事務所でも、この個別契約(スポット契約)に近い形で、単発の相談に対応する「人事労務スポット相談」を用意しています。

断続的な依頼の場合はどうすべきか

Qちゃん
毎月の依頼ではない、しかし、一時的とも言えない断続的に依頼が続きそうな場合はどうしたらよいのでしょうか?
企業の立場で考えたら、必要になったときにその都度、個別契約を結ぶ形にした方が金銭的に得ですよね?
A先生
確かに、私も企業の立場ならそう考えます。しかし、時期によっては、社労士から断られる可能性がある点は知っておいてください。

毎月なんらかの作業や相談があるのであれば、顧問契約をオススメしますが、

  • 2か月おき、3か月おきなど、断続的に依頼・相談がある場合
  • そもそも断続的に依頼・相談があるかどうかも不明な場合

という状況のときは、「その都度、個別契約を結ぶことは可能か?」と社労士に交渉してみるのも1つの手です。

Qちゃん
そんな本音で質問をしても良いんですか? 嫌がられそうな気がしますが・・・。
A先生
むしろ、本音で質問すべきです。その質問に嫌がる社労士とは契約をしない方が良いとさえ思います。

社労士には依頼に応ずる義務がある

以下のとおり社労士法によって、社労士には依頼に応ずる義務が課せられています。

社労士法第20条(依頼に応ずる義務)
開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く。)を拒んではならない。

ただし「正当な理由がある場合」に限って、社労士は依頼を断ることができます。

「正当な理由」がどこまでを指すかについて、茨城社会保険労務士会が解説しており、スケジュール的に間に合わない場合も、これに当たります。

社会保険労務士の公的な立場、職責のほか、業務運営の実情、依頼された事件の内容等を考慮する必要がありますが、例えば、依頼された事件が法令に違反するものであるとき、社会保険労務士の業務の範囲を超えるものであるときはもちろん、依頼された事務の内容からみて依頼者の希望の日時までに処理することが困難な場合等のように、依頼を拒む理由に故意性がなく、かつ、法律的、時間的、物理的にみて依頼に応ずることが困難とみられる相当な理由があるときは、「正当な理由」があるものとされています。

「社会保険労務士は、依頼された仕事を断る自由が制限されているそうですが、どういう意味なのでしょうか。社会保険労務士は仕事を依頼されると断れないということでしょうか。」(茨城社会保険労務士会)より

Qちゃん
なるほど。「依頼された事務の内容からみて依頼者の希望の日時までに処理することが困難な場合」という点で断らざるを得ないということですね。
A先生
はい。既にスケジュールが詰まっていて、緊急対応を行うことは不可能という場合はありえます。
それに、不得意業務だったり、期限に間に合わないのに、安易に受ける方が無責任とも言えます。

顧問契約の前に、一度個別契約で相性を確かめる

断続的な相談が見込まれるなら、顧問契約にしておくほうが無難です。ただし、いきなり顧問契約を結ぶ前に、一度、個別契約で依頼してみることをお勧めします。

そこで確認してほしいのは、専門性よりも「相性」です。

専門性は、その社労士が努力を続けることが前提ではありますが、経験を重ねることで向上します。一方、相談しやすいか、対応に納得できるかという相性は、あとから変わるものではありません。

Qちゃん
専門性の高い人を探して依頼するのが一番と思っていました。
A先生
もちろん、その会社が求める専門性の高い人を探すことができ、契約できるならベストです。ただ、距離、費用、やり取りのしやすさなど、すべてがピッタリという人を探すのは現実的には難しいと思います。だからこそ、最優先は相性、だと私はよくアドバイスします。

関連:社労士と顧問契約するとどんなメリットがあるか?

当事務所の場合

当事務所は、顧問契約と個別契約(人事労務スポット相談)の両方をご用意しています。どちらが向いているかは、記事のとおり、継続的な関与が必要かどうかで決まります。

当事務所の顧問契約では、就業規則・人事労務関連規程の作成・変更、そして毎年の労務監査を顧問料に含んでいます。個別契約では、それぞれ別料金です。

記事の最後で「最優先は相性」と書きました。だからこそ、ご契約の前に一度お話しする機会を設けています。

継続的に相談できる社労士をお探しなら

代表社労士が自ら全ての顧問先を担当します。担当者が変わることはありません。

顧問契約の詳細を見る

社労士に関するQ&A

up_line